2005年06月21日

ミュージカル・バトンとチェーンメールの違い

ミュージカル・バトンに拒否感を憶えなかったのは、それがチェーンメールではないからだ。
ミュージカル・バトンが、非常にチェーンメール的な伝播のしかたであるにしても、チェーンメールとは決定的な違いがある。(ように思う)

(※その2はこちら

チェーンメールの目的は、伝播そのものである、といっていいだろう。チェーン「メール」の本文(本体)がなんであるにせよ、それは必ず「他の人に伝えなければいけない」という強迫観念をもたらすものであり、そこで情報の価値や真実性への批判的視線や、情報の伝播の様式に対する批判性を失わせるような、非理性的なものである。
当初の発信者がどのような意図を持っていたかは無関係に、チェーンメール化したメールの存在意義は「伝播」それ自体にある。
もちろん、その伝播をドライブするものは「アイドルへの愛」だったり「地震やテロが来るかもしれない恐怖感」だったりと様々だろうけど、それはひとまず措く。

チェーンメールを受け取ったときの不快感は、他人が(他人に伝播したいと思っているほど)重要だと思っている情報を、あなたが、あなた以外の誰かに伝播したいほど重要だと思わなければならない、という暗黙の強制から立ち上ってくるものである、ように思う。

で、ミュージカル・バトン。
中身の是非や妥当性についてはひとまず措いて、それを渡す五人に入った自分は、どのようにセレクトされたのか、あるいはまた自分は五人をどのようにセレクトするのか、を考えた。
そこにあるのはたぶん「好意」に裏付けされた「興味」である。(と言ってしまおう。えーい)

もちろん、「自分がバトンの回答を書くのは楽しいけど、他の人はどうでもいいから適当にいれちゃえ(ルールだから)」ってのもあるだろうけど、それでも数多あるサイトから選ばれたのは、なんらかの作為があるからであると思うべきだろうし、すくなくとも嫌悪感を持っている相手ではなく、コミュニケートしたい相手であるのは確かだ。
(いやがったり困惑したりする姿を眺めるというコミュニケーション様式であっても)

個人的には、(知っている人から<これ重要)「あなたの聴いている音楽について興味があるんで、教えて!」と聞かれれば答えるのにはやぶさかではないし、それが定型のフォーマットになっていればさらに返答はしやすいよな、とも思う。
(だからミュージカル・バトンは、ただそれだけのことのように私には見えてしまう)

とはいえ、「他人から興味を持たれるなんてイヤだ(気持ち悪い)」という意見もわかるし、「不得手なことについて語ることがイヤだ(音楽を聴くことが嫌いだったり、障碍で音楽を聴くことが出来なかったりするひとはいるはずだ)」という気持ちもわからないでもない。

私だって免許取り消しになったばかりの時に「ライディング・バトン」とか「ドライビング・バトン」を回されたらムッとすると思うし、知らない人から「ファイナンシャル・バトン」とかいって財務内容を公開してるようなバトンが回ってきても困惑するだろう(いや知ってる人から回ってきても困る)。

まあしかし、それでもバトンの渡し手が、バトンの受け手に対して、なんらかのポジティブな興味を持っていることは確かだろうなあ、と思うし、思いたい。

つまり、伝播の様式がチェーンメール的であるとしても、ミュージカル・バトンの存在意義は、伝播そのものではなく、「誰かへの(音楽に関する)興味」にあるんじゃないかなあ、ということを個人的には思います。

て感じで。

(こういうのにかこつけた「興味」で人(自分)のことを探られるのはイヤだ、っていう反応もありそうだなあ。ポジティブにとらえれば「かこつけた」じゃなくて「いい機会」になるんだけど。でもmixiに対する反応の時にも思ったのだけど、こういうアクシデントに対しての反応で、その人がどのようなフレームでコミュニケーションしているのかが顕わになるよなあ……っていう見方をされるのがイヤなのか。確かにそこまでうがって眺められるとイヤかもなー(そんな見方をするのはごく少数と思うけど))

(とりあえず徹夜でぽやぽやしているのであとで書き直すかも)

参照すると参考になるかもしれないリンク
はてなダイアリー - Musical Batonとは
昨日の風はどんなのだっけ? - 「Musical Baton」を拒否する人たち
ゾミ夫(うさちゃんピースを見て飛んでくるUFOが夕日に照らされている)

ただのにっき(2005-06-17)
あれとかこれとか (Lefty):さすがねずみ算

投稿者 Masatoku : 2005年06月21日 09:23 このエントリーを含むはてなブックマーク

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その伝播のシステムが問題なのではないでしょうか?受け取り人の感覚の違いはともかく。

Posted by: たなか : 2005年06月25日 04:16

なるほど、では、具体的にどのような「問題」があるのでしょう?? ご指摘いただけるといいんですが。
(「問題がある」だけでは何が問題なんだかさっぱり……)

Posted by: Masatoku : 2005年06月25日 21:13

チェーンメールの場合、その存在意義が伝播ではないと発端の人間が主張し、客観的にそう思えたとしても、チェーンメールには変わりありません。

そのような主観あるいは言い訳を一切排除し、「複数につなげる」という行為を例外なくチェーンとみなして自粛しようというのが、チェーンメールに対する暗黙のルールです。

あとは、チェーンメールのようにシステムの破綻につながる恐れがないから別に構わないのではないか、という主張が通るかどうかですね。それを言ったら、今時のネットではチェーンメールでもシステムは破綻しないと思われますけど。

Posted by: tasuku : 2005年06月30日 17:45

追記しておくと、ミュージカルバトンにおいては、発端の人間の一部が「伝播が目的だ」と明言してるみたいですね。Masatokuさんが受け取ったバトンの発端の人は誰でしょう?

Posted by: tasuku : 2005年06月30日 17:50

>チェーンメールの場合、その存在意義が伝播ではないと発端の人間が主張し、客観的にそう思えたとしても、チェーンメールには変わりありません。

これは同意します。

>そのような主観あるいは言い訳を一切排除し、「複数につなげる」という行為を例外なくチェーンとみなして自粛しようというのが、チェーンメールに対する暗黙のルールです。

これも基本的には同意します。

ただ、その前提は、
「チェーンメールによって生み出されるバリュー<チェーンメールによって消費されるコスト(=害)」
という認識があってのことですよね? それに関連する人たち全体を俯瞰して「マイナスが大きい」と。

もし、「チェーンメールによって発生する『価値あるなにものか』」が、「弊害」より大きかったら、おそらくチェーンメールを否定することに世間的コンセンサスは取れないはずです。

で、ミュージカル・バトンについては、私は、
「(バトン受け渡しの都度に、個別に)生成される価値あるコンテンツ>チェーンメール的な(あくまでも「的」な)伝播の弊害」
と認識してるし、そういう意見も少なくないんでは? ってことです。

それを斟酌しないで「チェーンメール(的)だから」と硬直的に否定するのは、いささか脊髄反射的態度にも見えるし、さして有効な批判とも考えません。


>あとは、チェーンメールのようにシステムの破綻につながる恐れがないから別に構わないのではないか、という主張が通るかどうかですね。それを言ったら、今時のネットではチェーンメールでもシステムは破綻しないと思われますけど。


「通る」というのが何を意味しているのか明確じゃないのでナンですが、「多くの人に支持されている」ということで「通る」とするのであれば、すでに「通って」しまっているように見受けられますよ。(システムも破綻してないですし(笑))


>追記しておくと、ミュージカルバトンにおいては、発端の人間の一部が「伝播が目的だ」と明言してるみたいですね。Masatokuさんが受け取ったバトンの発端の人は誰でしょう?
http://ore.to/%7Egekka/2005/06/20050621_142311.php
こちらへどうぞ。

正直なところ、発端の「目的」にはさして興味がないです。
「伝播の様式がチェーンメール的であるとしても、ミュージカル・バトンの存在意義は、伝播そのものではなく、「誰かへの(音楽に関する)興味」にあるんじゃないかなあ、と」いうことで。


バトンの受け渡しは、渡す人が受ける人に一定の「興味」があると示しているとも考えられます。(受け取るかどうか、それを負担に思うかどうか、は別の議論)
で、それによって生成されたコンテンツは、バトンを渡すだけのリレーションのある対象への「興味」によって価値を持つ。
(リレーションがなければspam/無差別チェーンメールだ!という批判は正当でしょうが、まったく見ず知らずの人に渡しているのは見たことありませんし、ほとんどないと推測されます)

それは系全体で見れば、「誰かへの興味」を伝播していくことによって、バリューのあるコンテンツが増えた、ということのように思えます。どーでしょ?

Posted by: masatoku : 2005年06月30日 18:20