| 感 想 野 郎 '98 |
| ■ 遠藤浩輝短編集1 | 遠藤浩輝 講談社アフタヌーンKC ISBN 4-06-314175-6 C9979 \505E 1998.4.23.初版 | |
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まったくクラクラするぜ。 すごすぎ。 書名のとおり短編集で、アフタヌーンに掲載された「カラスと少女とヤクザ」「きっとかわいい女の子だから」「神様なんて信じていない僕らのために」の三本を収録。 マンガ評をやっている各サイトでこぞって取り上げているくらいだから、いまさら私が説明なんかしなくてもいいんじゃないかとも思える。 「弱くある、ということ」。 「好きな人が変わっていくことを許せるかということ」。 「罪のない人間なんていないってこと」。 こんな抽象化なんて死体解剖のようなもの。深さや痛さやすごさを伝えるのには何の役にも立っていない。 抽象化や類型化で欠落するものが多すぎて、もったいなくてストーリィの要約をしたくなくなる、というような作品集であるのは確かだ。 かれのマンガの登場人物は、絶望を知っている。 でも、世界には、絶望以外の感情も存在することを知っている。 そういう話だ。 | |
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■ 1998.4.27. ■ grade [ A ] | ||
| ■ 栞と紙魚子の生首事件 | 諸星大二郎 朝日ソノラマ ISBN 4-257-90280-9 C0979 \757E 1996.9.25.初版 | |
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「ネムキ」に連載された(ている?)という諸星大二郎の連作短編の単行本。 胃の頭町界隈に住む女子高生、栞と紙魚子の周辺に巻き起こる怪事件の数々……という説明で内容的には当たっているんだけれど、雰囲気はまったく怪奇じゃないところがヴェリーナイスな読み応えである。 ホラーマンガの主人公にするには一本(以上)抜けている栞(しおり)と、古本屋の娘で文系理論派メガネ系偏屈女子高生の紙魚子(しみこ)にかかると、道具立てはホラーでもとたんに物語はスッポコ度が増大し(誉め言葉)、「なんかヘンで心地よい」というような読み味が生成されてしまうのだ。 特に、つきで気に入ったのは、表題にもなっている「生首事件」という作品。早朝に公園を散歩していた栞はバラバラ死体を発見して、思わずその生首を持って帰ってしまう(なぜ持って帰る!?)。しかし後で困って紙魚子に相談すると、彼女は古本屋から「趣味と実用シリーズ 生首の正しい飼い方」という本を持ってきて、これを見ながら飼えばイイ、と言う。栞はしばらく生首を飼うが、だんだん気味が悪くなってきて、二人して近くの川に流す(返す)、という話。 きっと生首の竜之介は、いまも鯉に噛み付いたりして股川上水あたりで元気に暮らしているんだろうなあ、というほのぼのなエンディングがいい味だ! あと「桜の花の満開の下」での、“ハンディカラオケを手に『最近はこんな物もあるのか』と歌う亡霊の姿”というのも、展開が展開なだけに相当なインパクトが!(マジ) ホラー作家・段一知の娘クトルーちゃんのペット、ヨグちゃんとの息詰まるタタカイなどもあって、クトゥルーファンにも見所たっぷり。万人向けではないけどナイスな一冊だ!(エクスクラメーションマーク多すぎ!) | |
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■ 1998.4.25. ■ grade [ B+ ] | ||
| ■ 超クソゲー | 阿部広樹・箭本進一 太田出版 ISBN 4-87233-383-7 C0095 \1300E 1998.4.2.初版 | |
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評価はB級だけど、笑いのツボ押し頻度も内容もコストパフォーマンス比も超B級である。なんといってもこんだけ分厚くて1300円というのは抜群に安いし、ほかでは入手不可能なレア情報がてんこ盛りだ。(クソゲーはあまり売れないものが多い<当然) 「くそゲーハンターABC」こと阿部広樹氏の文章はおたくウィークリーでもおなじみのノリの良く笑いのツボを押さえたものだし、箭本進一氏の文章も評論調でありつつやっぱり笑えてヨイっす。内容は……内容は推して知るべし(笑)。 しかし、伝説の極悪クソゲー「たけしの挑戦状」への開発者インタビューやニフティの「ときメモ会議室」のドキュメンタリーやらサタマガ読者投票で最下位独走の「デスクリムゾン」の取材顛末記や例の「せつなさ炸裂」(笑)の緊急特集やら秋葉原放浪の途上の「ルノアール」での superfami.com というサイトを主催する謎のアメリカ人バイヤーとの邂逅やら、読みどころは満載である。普通のクソゲーレビューも、もちろん笑えるものではあるし(というか紹介されるゲームのあまりのイカしっぷりにもうメロメロ。今、私の周囲(超極一部)では『里見の謎』プレイ要望が高まりを見せてます)。 (※1・『里見の謎』縦スクロールマップしかないRPG。しかもPS。CD読み込み速度だけはFF7に匹敵する、という) クソゲーは基本的にやっぱりどうあがいたってクソである。クソゲーはクソゲーだからクソゲーなのだ(トートロジー)。でも、たしかにこういう「クソゲー鑑賞(&レビュー)」もゲームに対するひとつの愛ではあると感じたことです。 偏愛だけど。 ゲーム好きのヒトは是非。オススメ品でしょう、これは。 | |
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■ 1998.4.24. ■ grade [ B+ ] | ||
| ■ EDEN 1 | 遠藤浩輝 講談社アフタヌーンKC ISBN 4-06-314176-4 C9979 \505E 1998.4.23.初版 | |
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未来、謎の奇病で壊滅状態になった文明。かつて閉鎖系実験場だった孤島に、生まれながらにして抗体を持つ少年・エノアと少女・ハナ、そして科学者レインが暮らす。そこへ国連の部隊が彼らを救出にやってくる――が、突如、「世界を救う」組織プロパテールに寝返る隊員たち。エノアは人工知能兵器ケルビムを使い、侵攻部隊を壊滅させる。二人はケルビムをつれ島――彼らにとっての「エデン」――を出ることを決意する…… これが、117ページを費やして語られるプロローグのあらまし。 本編はその二十年後に始まる。 エノアとハナの息子はケルビムを連れ、プロパテールの支配領域を抜けようと旅をしている(らしい。目的は明かされない)。彼は、途上で発見した少年の死体に隠されたディスクを見つけてしまう。その後、軍人とおぼしき集団にトレーラーごと同行を強要されてしまう…… 大友克洋を思わせる緻密な書き込みの画面に、思いっきり大風呂敷を広げた世界観。 思えば子供のころから、私の読みたいマンガというのはこういうモノだったんだなあと、自分の嗜好を再確認してしまった。ミニマルな完成度を競うマンガも好きだけど、こういうマンガを読むと、王道だなあ、と思う。とにかく絵が上手いのもいい。 物語はまだ先が見えないし謎も山のようにあって、読んでいてもいまいち「よくわからない」感が強いけれど、続きを読みたくなる物語であるのは確かだ。期待中。 | |
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■ 1998.4.23. ■ grade [ B+ ] | ||
| ■ あささわDX | 上野顕太郎 アスペクト ISBN 4-7572-0029-3 C0979 \1200E 1998.4.7.初版 | |
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上野顕太郎はギャグマンガ家である……あるんだけど、ギャグの方向性が定まらないので「こーゆー」といえないのがツラい。いやツラくないけど説明しづらいかも。 「あささわ」より「帽子男」シリーズの方がしょうもなさでは上かもだけど、いろいろ実験的なギャグやらパロディやらが安彦麻理絵との合作やらがあって楽しいぞ。 (「さるまん」と松苗あけみのパロディ、あと馬肉プラモデルには笑いました) 結局のところこういう感性に訴えかけてくるマンガについては「読め! 俺は笑ったぞ!」とか「これは俺には笑えなかったなあ」とか「繰り返し読んでると笑いがこみ上げてくるところが秀逸だぜ」とか、外堀を埋めるようなコトバしか出てこないのである。 だから「やっぱウエケンっていかすぜ!」と言っておけばいいのである。 たぶん。 (思えばギャグマンガ家というのは効率の悪い商売ではある……「帽子男」シリーズと併せて、買うのが吉!) | |
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■ 1998.4.21. ■ grade [ B ] | ||
| ■ からくりサーカス 3 | 藤田和日郎 小学館少年サンデーコミックス ISBN 4-09-125333-4 C9979 \390E 1998.5.15.初版 | |
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うーん。 いまいちパッとしないまま終わってしまった感がある「勝」の章であった。 この巻で勝は阿紫花を「雇い」、鳴海としろがねを救出し、善治おじさんに鳴海ばりの攻撃を仕掛け、しろがねのかわりにあるるかんを操り敵と戦い、そりゃもう獅子奮迅の働きというやつを見せる。が、爆発する善治の屋敷からの脱出行の中、勝を守って鳴海は死んでしまう。 以下、4巻の「サーカスの章」に続く。 もっとも鳴海が死んだ、といっても、腕を落とされただけで生きている可能性もないではないわけだけれど。 うーん。 まあ、この路線がずっと続くんじゃなくてよかった、ということは思うので、とりあえず新章に期待である。うーん。 | |
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■ 1998.4.21. ■ grade [ B- ] | ||